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今回のドクターズコラムは、豊田市柿本町にある「もとまち内科クリニック」の伊藤裕也院長にインタビューいたしました。 昨年の6月号では、もとまち内科クリニックさんの特徴や、伊藤院長について詳しくご紹介しました。今月号では伊藤院長に「胃がんとピロリ菌およびその検査方法と治療方法」についてと、「大腸がんと大腸内視鏡検査」についてお伺いしました。
胃がんとピロリ菌について教えてください。
胃は国内のがん罹患割合(2019年)で、男性3位、女性5位に入るがんの好発部位です。初期段階では自覚症状がほとんどなく、早期発見の難しい病気です。がんの進行に伴い、胃の痛みや不快感、胸やけ、食欲不振などの自覚症状がみられるようになるため、進行した状態でみつかるケースもいまだに多くあります。
胃がんになる原因で最も重要なのがピロリ菌感染です。胃がんの99%でピロリ菌感染が見られるとの報告もあり、胃がん予防ではピロリ菌の管理が極めて大切になります。ピロリ菌の感染は、井戸水や土壌に存在している菌や両親が保有している菌を口から摂取することで成立します。特に乳幼児期は、胃の免疫が未熟でありピロリ菌が定着しやすく、感染が成立しやすいと考えられています。ピロリ菌は、20〜30代の1割〜2割の人が感染し、年代が上がるにつれて感染者数が増え、70代では7〜8割の人に感染がみられます。症状のない方もみえますが、ピロリ菌による胃炎は確実に進行しており、胃がんのリスクになっていますので、早い段階でピロリ菌の検査や治療をすることが大切です。
ピロリ菌の検査について教えてください。
ピロリ菌の検査は、胃の細胞をとって診断する方法と血液、尿、便、呼気などで診断する方法があります。それぞれの検査には一長一短があり、患者さんの病状や希望に応じて使いわけることができます。検査でピロリ菌が陽性の場合は、ピロリ菌の除菌治療を行います。
最近の除菌治療薬は非常に良く効くようになっており、初回除菌ではボノサップという薬を使用し、当院では93〜95%程度の除菌効果を得ています。初回除菌に失敗した場合も二次除菌薬のボノピオンを使用することで、最終的に98〜99%の人が除菌されています。それでも除菌ができなかった場合は、自費診療になりますが三次除菌も行っています。今のところ当院で三次除菌を実施した方は、すべての方が除菌成功しています。
胃がんの治療方法について教えてください。
胃がんの治療方法は、がんの進行度やお体の状態(年齢や性別、基礎疾患など)、ご本人の希望などを総合的に判断して治療方針を決めていきます。治療方法は大きく分けて「内視鏡切除」「外科手術」「抗がん剤治療」の3つがあります。
一般的に行われる胃がんの治療方法は「外科手術」です。外科手術では、がん化している胃の組織と必要に応じて転移している可能性がある周辺のリンパ節の切除を行います。
胃がんを早期発見ができた場合で、がんの転移がなく腫瘍のサイズが2cm程度であれば「内視鏡切除」を行います。内視鏡切除のメリットとしては、手術時間が短く身体への負担が少ないので、入院期間も短期間で済むことがあります。「抗がん剤治療」は、手術前に癌を小さくする目的や、手術後の再発予防、手術が難しい人に対しての全身化学療法として行います。
大腸がんについて教えてください。
大腸は国内のがん罹患割合(2019年)で、男性2位、女性2位に入るがんの好発部位です。日本人にとっては身近ながんであり、高齢化と食生活の欧米化により年々罹患数が増えています。大腸がんのリスクに関しては、高蛋白食、高脂肪食、低繊維食、飲酒、喫煙、運動不足などが挙げられています。大腸がんの家族歴がある方や潰瘍性大腸炎を長期間患う事でも大腸がんのリスクは高くなります。
自覚症状は、胃がん同様に早期の大腸がんではほとんどありません。がんが進行し大きくなると血便、便通異常(便秘・下痢)、腹痛、便が細くなる、体重減少などの症状が現れます。大腸がんは、早期であれば90%以上が完治しますが、進行に伴い完治しにくくなります。より早期の段階で発見、治療するためには、便潜血検査や大腸内視鏡検査などを定期的に実施することが重要です。
大腸内視鏡検査について教えてください。
大腸内視鏡検査は大腸がんの精密検査になります。内視鏡を肛門から挿入して、直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく観察し、ポリープやがん等の病変を見つけることができます。病変の一部を採取して病理検査(悪性か良性かを調べる検査)をすることや、病変が大腸粘膜の表面に留まっていれば内視鏡で完全に切除することも可能です。
大腸がんの予後において、精密検査を受けていた方の5年生存率は86%ですが、精密検査を受けていなかった方の5年生存率は49%に悪化したという報告があります。つまり精密検査を受けていないと、治せる状態でみつかる癌が減ってしまうということであり、便潜血陽性となった場合は必ず精密検査を受けていただくことをお勧めしています。
インタビューの様子
大腸がんの治療方法について教えてください。
がんの進行度やお体の状態(年齢や性別、基礎疾患など)、ご本人の希望などを総合的に判断して治療方針を決めていきます。「内視鏡治療」はがんが浅いところに留まり、リンパ節や他臓器への転移が認められない場合に適応となります。
「外科手術」はがんが深くに及ぶ場合や、リンパ節転移を認める場合に適応となります。他臓器への転移を認める場合は「外科手術」もしくは「抗がん剤治療」が治療の選択肢となります。大腸がんは根治的な切除を行えば長期生存が見込めるとされているため、胃がんと比べてもより積極的な治療が行われています。近年は「抗がん剤治療」の成績も向上しており、当初治癒困難と判断された場合でも、「抗がん剤治療」を経て治癒切除が可能となるケースも増えています。